おすすめ度*1 |
---|
基本部分は以前レビューしたG2200を踏襲しているが、家庭用ゲーム機などへ幅広く対応し、音響ツールを排して簡易DACを搭載したモデル。
イヤーパッドの側圧はそれほど強くなく、イヤーマフも柔らかめで装着感は良い。 本体は軽量。音漏れは大きい。
【1】外観・インターフェース・付属品
本体はAUX入出力専用だが付属コネクタで多様な接続方式に対応する。PCをはじめPS3/PS4/XBOX 360/スマホ/タブレットなどに接続可能。DACツールごしに使う場合ハードウェア的な増幅を加えているせいか若干ノイズは感じるものの、ケーブルのタッチノイズはない。
【2】音質
この製品は基本的DACツールを使うことを前提としているため、それを通した音質をレビューする。全体的にやや低域が強めに強調されていて、前面にしっかりと低域を感じる。中域以上も左右の張り出しがよく、ボーカルをぐるっときれいに取り囲む感じで空間的には充実感があり、低域が少し存在感が強いことを除けば音楽も楽しめる。
[高音]:のびやかでリバーブ感も自然。やや奥まるところはある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、petit milady「azurite」でテスト)
[中音]:張り出しもよく、肉厚な音。鮮やかさや華やかさはそれほどないが、力強くしっかりと存在感がある。
[低音]:ベーシック部分がいっしょなので、傾向はG2200によく似ている。100~70hzまでかなりの振動感があり、ピークは70hz前後。60~40hzも振動感は失われず、30hz付近で落ち着くが存在感は消えない。この振動が低域に弾みと活きのよさを与えていて、文句なく迫力ある主役をなす(分島花音「killy killy JOKER」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:張り出しがよいので少し入り口が狭く感じられる。奥行きもあり、奥から手前に迫ってくる音も綺麗に近づく(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラム主導なので安定気味の音場だが、文字通りの振動と躍動感がある音なのでアタック感もそこそこ感じられる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:全体として肉太で生命感のあるあたたかいボーカル。中域がとくに充実していて聴き応えあり。高域は少し奥まり、天井は感じやすい。
【3】ゲーミング体験
※このレビューはPCで体験したものです。家庭用ゲーム機では違う傾向になる可能性があります。
緻密な音表現で空間を演出する「Witcher 3」でテストしてみた。まず左右の張り出しがしっかりしているせいか、方向感が強い音響がキャラクターの動きにダイレクトに追随して臨場感が高い。ナレーションは近く、リバーブも自然で聞きやすい。ゲームの中に飛び込んでいる感覚。打撃や斬撃の衝撃音には重みがあり、火などのオブジェクト音には存在感がある。そしてそれらがかなり自然な距離で聞こえてくるので、変にゲーム向けに歪んだ感じになっていない。これは良質。
ホラーゲームも重苦しい空気感がよく出て迫力がある。驚くべきは敵の存在感。ナレーションがしっかり聞こえるので、敵の声も息遣いから近く聞こえ、見つかったときの衝撃音も重たくのしかかる。広さを演出する残響感はそれほどでもないが、張り出しがよいので、近くのオブジェクト音に存在感があり、身近な恐怖はそれだけ生々しく迫って感じられる。臨場感高め。
【4】マイク
声質は明るめ。元気に入るのでチャット向き。キーボード打鍵音は入りやすい。
【5】総評
G2200はゲーミングモデルとはいえ、比較的おとなしい味付けだったが、こちらは正統派。臨場感にこだわりを感じさせる演出で、とにかく近いものとナレーション、敵の声などが明瞭で近く、ゲームへの没入感を高める。どちらかといえば一人称視点のゲーム向きでゲームにのめり込みたいという人におすすめだ。
そういう臨場感にこだわる人には、この価格帯でベストバイに近い。
【関連記事】
*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。