おすすめ度*1 |
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カナル型のハウジングにイヤーウィングのついたワイヤレスイヤホン。Bluetooth4.1対応。aptXには対応しない。通信性能は近距離では安定しているが、それでもまれに遅延と途絶が出ることがある。また音源機器から5m程度離れるとやや通信が不安定になり、通信が切れて電源が勝手にOFFになってしまう場面もあった。
ウィング型はねじりこむように入れると耳のへこみにうまく嵌まるので装着感は高い。遮音性はそこそこで装着しても環境音はそれなりに聞こえる。音漏れもややシャリシャリと出る。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品はキャリイングケースとイヤーピースの替え、イヤーウィングの替え、USB充電ケーブル。細めの平形ケーブルのタッチノイズは少なめ。
ハウジングはマグネット内蔵で未使用時はネックレス状にして装着できる。
【2】音質
若干ノイジーな鳴り方をするところがある。それほど目立たないが細かい雑音のようなものが感じられる。そのせいか粒感強めに感じるところはあり、シャリ感も出やすい。低域はそれほど目立たず、味付けは自然でフラットな感じだ。
[高音]:のびやかさも突き抜け感も自然で尖らない。若干ハスキーでシャリっとしている(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:左右の感じは少なく、奥行きがほどほど感じられる。弦楽音は細めで糸のようなところあり。ピアノやギターはおとなしめ。
[低音]:おとなしめで若干振動にブレがあってコイル音のような音が混ざる気がする。100hz~40hzまで比較的スムーズに減衰し、30hzで沈む。ドラムはハリが強くバチバチ弾ける音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:左右は強くなく、奥に若干長く感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムの弾けた感じは強く、エネルギッシュ。シンバルは粒感強めでそこそこキレが良く、リズム感は綺麗に出やすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは自然でのびやかさも抜けもそこそこ。ほどよい温度感が維持されている。楽器とはやや近め。
【3】官能性
やなぎなぎ「音のない夢」はピアノが抑えめ、一方でリズム感が明確で金属的な鮮やかさもよく出る。ボーカルには温度感があり、全体として暖色の色合いがよく表現されている。ボーカルの楽器音への埋もれ具合も自然にとけこむ感じがある。
沢井美空「なきむし。」はピアノはおとなしめで情感は抑えめ。パーカッションのリズムがやや目立ち、展開性が若干強め。そのため叙情よりは思い切りの良い感じが出ている。ボーカルにはほどよい温度感があり、自然な色合いでぬくもりがある。
奥華子「窓辺」はピアノ音よりギターの金属的なつま弾き音が印象的になっており、若干静かで重たげ。ボーカルはぬくもりのある優しい響きで尖ったところはなく、高音も自然に丸く返ってくる耳に心地よい表現だ。
原田ひとみ「Anicca」は比較的尖りや刺さりがきつめの曲に思うが、このイヤホンでは痛い場面はほとんどなく、シャープな感じもほどよく抑えられて聴きやすい。中毒性は減っており、ややボケた印象もあるが、逆に聞き疲れない。
【4】総評
やや精彩さに欠けるようなところもあるが、全体的に自然で聴きやすい。尖りそうなところはうまく丸く返ってくるところがあり、耳に痛い場面は少ない。味気なさを感じやすいかも知れないが、聞き疲れはしにくく、シャリっとした感じは出るが、それがあまり刺さってこない。自然なボーカル表現とほどよく金属的な音が目立つ優しい楽器音、おとなしめだが弾みの良いパーカッションが意外に万能に働くところがある。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。