おすすめ度*1 |
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ASIN |
柔軟なフレームと豊富な付属アダプタで汎用性の高いゲーミングヘッドセット。簡易DACを搭載しており、価格の割に音質面での表現力が高い。遮音性はそれほど高くなく、音漏れもそれほどでもなく、最大音量だと首掛けしても音は普通に聞こえる。
簡易DACは音質をかなり増幅するが、同時にノイズ音なども大きめになる。
イヤーマフは厚みがあり、大きめで耳を包み込んで当たりは優しいが、蒸れやすい。装着感自体は軽く、負担がない。
【1】外観・インターフェース・付属品
本体はAUX入出力だが、RCAオーディオ変換ケーブル、USB簡易DACつきケーブル、Xbox 360用変換ケーブルが付属し、汎用に対応する。マニュアルは英語。
【2】音質
簡易DACを通すとかなり低域が強調され、量感も出て広さも感じられる。以下の評価は簡易DACケーブルを外し、本来の性能で聴いてレビューした。音場はかなり広く感じられ、左右の方向感が明確。低域はやや強めの特性で、ここらへんはゲーミングヘッドセットとして正統派と言える。はじ付近でやや歪みを感じ、音割れしやすいところがあるが、それほど目立たない。全体として広めの音場と豊かな低域が感じられやすい、やや重たげな安定感のある味付けだ。
[高音]:比較的のびやかで突き抜け感もあるが、息が強く出るところでは音割れしやすい。刺さる痛い感じではなく、ノイズのような割れ方でそれほど聞き苦しくはない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、petit milady「azurite」でテスト)
[中音]:中域は広さが感じられる。左右の方向感がとくに明確で楽器が移動する曲などではその動きがはっきりとわかる。
[低音]:100hz~90hzはおとなしめ。80hz~60hzにかなりブーミーな振動域があり、70hzがピーク。50hzからは落差を伴って重く沈む。低域ドラムはそれほど爆発せず、表面の撥ねる音が下方向の地鳴りにつながっていく自然な味わい(分島花音「killy killy JOKER」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:左右の方向感がしっかり出るので定位感は感じやすく、良好(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:立ち上がりは少し重く、もっさり感がある。疾走感もそれほどでもない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:楽器の広がりの中にボーカルが包まれており、比較的一体感が強い。ゲーミングモデルはボーカルがだいぶ浮き上がって聞こえるモデルが多い中、これはそれほど分離しない。
【3】ゲーミング体験
※以下のテストは簡易DACを使わずに評価しています。簡易DACを使うと低域が寄り強調され、全体として映画館にいるような雰囲気になります。
緻密な音表現で空間を演出する「Witcher 3」でテストした。このヘッドセットはナレーションと背景音のバランスが良く、登場人物の台詞がそれほど場面から浮き上がらないので、映像との違和感を感じにくい。台詞が聞きづらいところはほとんどなく、バランスは良好。エコー表現は不自然に反響しない。斬撃音は肉切りのザクとした音も聞こえるが、風切りの音も入り、重すぎず軽すぎず。また背景音の距離感も自然で広さを感じやすい。
張り出しもあるが頭の後ろまで強く回ってくる感じではなく、斜め後ろくらいまでの自然な感じで耳元まで迫ってくる感じではなく、映画館のシアターシステムのような一定の空間性を感じる。映画を見るようにプレイする感覚。
ホラーゲームも空間性重視で広さを感じる。廃墟系ではダクト音や金属の反響音、水の滴る音などがかなり遠く聞こえ、空気に乗ってまとわりついてくる不気味さはないが、逆に何者かが突然出てくるかも知れないスペースの広さに別の恐怖感がある。的に発見されたときなどの効果音は控えめで衝撃性は弱めに思うが、それだけにじっくり腰を据えて楽しめる。若干映画的で臨場感は抑えめ。
【4】マイク
声質は自然に近く、やや明るめ。チャット向き。環境音は拾いやすく、キーボードの打鍵音、コンピュータの動作音などはよく拾う。
【5】総評
装着感が良く、音質のバランスもよい。全体として映画的な表現でゲームを体験しているというよりは傍観しているという感じの音には思うが、方向性は明瞭でプレイフィールは良い。軽妙な付け心地と相まって長時間プレイに向く。一方で音楽用としてもなかなか良好に思うが、音割れしやすいところが気になった。
全体としておすすめ度かなり高めで、もしかすると価格帯ベストバイかもしれない。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。