ヤマハ 密閉ダイナミック型インナーイヤーヘッドホン シルバー EPH-100(S) 国内正規品
おすすめ度*1 |
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ダブルフランジ型のイヤーピースが特徴のカナル型イヤホン。ダブルフランジ型イヤーピースがかなり柔軟にしっかりと耳にはめこまれるせいか没入感は高めだが、音漏れはそこそこ大きめ。
【1】外観・インターフェース・付属品
付属品は標準オーディオプラグへの変換コネクタ、ダブルフランジ型のイヤーピースの替え5種類、延長ケーブル。ダブルフランジ型に特化してイヤーピースの替えが揃っているのは珍しく、こだわりポイントだと思われる。実際このダブルフランジ型イヤーピースはやわらかめで耳へのフィット感に優れていて、不快感を全く感じさせない。
ケーブルのタッチノイズはそれほど目立たない。
【2】音質
中高域の伸びやかさ、精彩感が魅力で、しかもダブルフランジ型のイヤーピースのおかげでしっかり耳管に収められるせいか、量感も感じられる。一方でキーボード音などにはFM音源や一昔前のMIDI音源に近いピコピコしたデジタル的な音色が感じられるところがあり、ここが臭みと感じるか味な演出と思うかで評価が分かれそうだ。
[高音]:のびやかで鮮やか、抜けも良い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)
[中音]:精彩感が強く、若干シャープ。キラキラ感が強く、金管楽器の吹き鳴らしもきれい。ただキーボード音などがかなりデジタル的な色合いで出るところがあり、ギターも尖り気味で少しキンキンする味付け。
[低音]:100hz~50hzまで自然な振動で減衰する。40hzからは沈む。ドラム音に弾みがあって重みも感じられる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:精密できらきらとした緻密な音。やや平面的ではある(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:パーカッションの立ち上がりは良く、アタック感良好。同価格帯では躍動感と疾走感、軽快さに秀でている印象。若干シャリ感が強い(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:鮮やかではあるが楽器に近く、一体感がある。息がややシャリっとしていてシャープに出やすい。
【3】官能性
早見沙織&東山奈央「Hello Alone」は立ち上がりの良いリズムパーカッションがどんどん主導する。ややシャリっとするものの粒感とアタック感は良好。ボーカルは楽器に包まれて一体的。ピコピコとしたデジタル的な色合いが強く、テクノ色が強いのだけ好みを分けそうだ。
いきものがかり「気まぐれロマンティック」も音に厚みと広がり、迫力があり、弦楽はとくに鮮やか。パーカッションのアタック感と粒感が良好でリズムも明瞭。ボーカルには肉厚で力強さがありながら、のびやかで全く暗さとは無縁で元気で明るい。全体として勢いとパワフルさのある曲調を余すところなく伝えて、豪快に盛り付けられた華麗な色合いに満ちている。
やなぎなぎ「春擬き」は抜けも良く力強い楽器音にパーカッションが立ち上がりよくリズムを加える。ボーカルは少しシャリ感が出て息音を中心に刺さりやすいところが目立つものの、シャープでエグ味の強い表現はなかなかに中毒的。アタック感と疾走感強めの一点突破で次々前方展開していく電撃戦のような表現。
nano.RIPE「Real World」はパーカッションが刻む疾走感に鮮やかなギターが彩りを添えて変化に富んだ曲調をきれいに演出する。ボーカルも上下に切り替えるタイミングがきれいにギャップ感を明確に伴って感じられ、楽しい。ギャップという意味では、楽器・ボーカルともに立ち上がりと消失の切り替わる急展開なところもうまく、ジェットコースターのように起伏と変化、旋回性に富んだ曲調をよく表現する。
【4】総評
ややテクノ的ではあるが、立ち上がりの良いパーカッションと鮮明で精彩な中高域に味わい深さがある。ロック、ポップス、クラブミュージック、そしてとくにテクノミュージックに向く。音には若干エグ味があり、ナチュラルさはそれほどないので、アコースティックな楽器には向かないような気がする。
ヤマハ 密閉ダイナミック型インナーイヤーヘッドホン シルバー EPH-100(S) 国内正規品
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。